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ガイドとしての決断

  • mgo-tamura
  • 2024年9月2日
  • 読了時間: 2分

「またここまで歩いてこないといけないなんて・・・」


目的の山までのアプローチが長ければ、そういう気持ちになって当然

槍ヶ岳と塩見岳では明暗が分かれてしまった


風雨で衣類が濡れ、疲労と寒さの中でやっとの思いで小屋に到着。

雨は止んだが風は吹いている状況。

槍の穂先は目の前だが、登るという判断はできなかった。

「ここまで来たら登りたい」

「頑張れます」

そう言われても、様子を見れば一目瞭然。

登る時間を夕食ギリギリまで遅らせる、翌朝に出発時間を早めて登る、といった案も考えたが流れ(合同催行チームとの連携)が良くなかった。

気持ちは痛いほど分かるが、情に流されて判断を誤ってはいけない。


連日雨予報だったが奇跡的に小屋までレインウェアを着ることなく来れた。

青空の下にどっしりと構える目指す頂を見た時、全員が登頂を確信していただろう。

小屋の手前で雲行きが少しずつ怪しくなり、遠くで微かな雷鳴が聞こえ始めた。

到着してしばらくすると冷たい風が吹き始めた。

「間違いなくこのあと荒れます。今日はもう歩けません。」

苦渋の決断だった。

槍ヶ岳の時と違って、衣類が濡れているわけではなかったし、お客さんの状態も悪すぎるということは無かった。

しかし、今回は発雷確率が高かった。

人数が少なく、足並みも揃っていたので、

【条件次第で翌朝登頂する案】

を提示した。

天気の神様、山の神様の存在を感じずにはいられないほどの条件が揃い、全員で登頂する事ができた。

全てが上手くいって、絶望からの大逆転。


自分自身にも目指している山がある

「また来年この道を来るのか・・・」

気持ちが分かるからこそ、登頂させてあげたいという気持ちは強い。

しかし、無事に下山するという絶対的な目的がある。


夏山シーズンも後半戦。

天気だけはどうする事も出来ない。

祈る気持ちです。

登頂を目指すことが許されたと感じた朝



 
 
 

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